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「古いほど価値がある」は違う?家具販売員が教えるヴィンテージ家具の基本 | 資産形成

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「ヴィンテージ家具」って知っていますか?

「ヴィンテージ家具」とは単に古いだけでなく、年数が経過しても高い資産価値を維持し、人を魅了する輝きを放ち続けている家具を指します。その輝きはどこから来るのか探ってみましょう。

ヴィンテージの定義

ヴィンテージという言葉は、ワインの原料となった葡萄の「収穫年」のことを指します。本来は古いという意味ではありません。
昨年収穫した新しいワインにもヴィンテージがあり、一般的にはラベルの表記が15年以上前のものが「オールドヴィテンージ」とされているようです。

イラン、トルコなどにおいて、伝統的な綴れ織りで製造されている絨毯「キリム」では、30年モノは、オールドと呼ばれ、クルマに至っては、クラシックという言葉を用いています。日本人には骨董という言葉の方が馴染みがあるかもしれません。

様々なモノによって定義が異なりますが、家具の場合は、製造から30年を経過したものを、ヴィンテージ家具と呼び、100年を経過したものをアンティークと呼びます。

このヴィンテージ(=Vintage)は英語。フランス語では、ミレジム(Millesime)
イタリア語では、ヴェンデミーア(Vendemmia)と言うそうです。

「古いほど価値があり、高価である」と思いがちですが、実は多くの人が抱いているヴィンテージ家具の先入観は間違っていることもあります。そこで今回は、家具好きならいつかは挑戦したい「ヴィンテージ家具」の基本を学びましょう。

古いほど価値があるの?

誰がデザインをしたプロダクトなのか、どこの工房で制作されたのか、一般向けに販売したものではなく公共施設向けに納められた家具なのか。そういった要素が重要になってきます。
また、いわゆる試作品(プロトタイプ)といったものには更に価値が高い傾向にあります。

どうしてヴィンテージ家具は高いの?

私の見聞きした中では、ハリウッドのスターやお金持ち層のライフスタイルの変化もあるようです。それまでは、ロココやクラシックの家具に代表されるアンティーク家具で生活していたものを、今の時代にマッチする、よりスタイリッシュなミッドセンチュリー期のイームズをはじめ、それ以前のコルビジェやプルーヴェなどの家具を買い集めたことが家具高騰の一つの要因でもあります。

ヴィンテージ家具の価値が上がれば、現行品のプロダクトも、2000年以降毎年値上がりし続けている現状です。

近年のヴィンテージ家具コレクターは広がりつつある?

40年代から60年代のミッドセンチュリー期にデザインされたヴィンテージ家具を求め、いまや世界中のバイヤーがデンマーク、フィンランドを訪れ、拍車を掛けて、価値が上がっている印象です。著名なデザイナーがデザインしたプロダクトも状態の良いものから市場から消え、更に価格も変動し、その次の時代のデザインプロダクトが作品と呼ばれ文脈を形成しながら高騰しています。ある種のブームが起きていると言っても良いかもしれません。 

一時的なブームで落ち着くと考えたところもありますが、アメリカ、ヨーロッパ、日本だけでなく、ここ2~3年は韓国や中国のバイヤーも多く、状態のよい作品を入手することは難しくなってきています。
この20年で価格も2~3倍へ上昇し、その一部は50倍のプライスが付く作品も存在します。

2006年のサザビーオークションにおいて、マーク・ニューソンがデザイナをした、IDEEの初期に発売されたロッキード・ラウンジが約85万ドル(約1億円)のハンマープライスを付けたことを記憶している方も少なくはないはずです。当時の歴史上最も高価な家具となりました。
それらは、単にデザインが優れているだけでなく、北欧を代表するデンマーク家具は、デザイナーと工房とが協同し制作したことからも、品質は高く、使われている材質自体も近年では価値が増しています。さらに、マホガニーやチーク材を使用した家具を輸入するのも近頃困難になっています。

資産価値があるヴィンテージ家具の特徴とは

市場の法則で、需要と供給のバランスも関係しています。フィンユールやハンス・j・ウェグナーといったデザイナーの名前を聞いたことがある方も少なくないと思います。彼らがデザインしたプロダクトは、製造した時期やアイテムによって工房を変えながら制作され続けています。
それは、企業間の買収の話にも通じる話でもあり、細かくは説明が出来ないのですが、資産価値という観点から言うと、そもそも当時から制作された数が少ない、どこかの施設の為に制作されたなどのストーリーが加わる作品は、価格に反映されていると考えています。

そして、大切な文脈の話もお伝えしたいと思います。

2019年現在、国立西洋美術館本館開催されている、ル・コルビジェを例に例えると分かりやすいと思います。
コルビュジエは甥であるピエール・ジャンヌレとシャルロット・ペリアンの三人の共同でデザインをしていました。多くは公共施設向けにデザインをされたため、今のように価値が生まれる以前に処分をされたり、1990年代に実際に買い付けに行かれていた方から話を聞いたこともありますが、現在の評価から考えると、ゴミのような価格で売られていたそうです。彼らを起点に考えたとき、 前川國男氏の紹介でル・コルビュジエの建築設計事務所に入った、坂倉準三氏。
日本の商工省が輸出工芸指導の装飾美術顧問として招聘された、シャルロット・ペリアンと親交が深かった柳宗理氏のデザインした家具作品という風に、価値付けされ、そうやって作品に意味をつけ、価値をつけられてきました。
それは西洋のオークションハウスであったり、影響力のあるディーラーも関わっていると思います。もちろん、美術館も忘れてはいけません。

現代を生きているプロダクトデザイナーの中にも文脈はあります。誰に影響を受けているのか、尊敬している芸術家やデザイナーはいるのか、またその思想も大切だと考えます。

室内をヴィンテージ家具を中心に彩るのも、蒐集するのもよいですが、文脈の中で現代のプロダクトを見てみるのも楽しいものです。

アメリカを代表するイームズ、ジョージ・ネルソン、北欧では、フィン・ユール、アルネ・ヤコブセン、ヴェルナー・パントン、ニューヨークで脚光を浴びた、私の好きなデザイナー・ポール・ケアホルムらがデザインをし後世に残した家具たちも、それぞれの文脈の中で意味や価値を付けられているように思います。
ちなみに、私が初めてジャン・プルーヴェの家具を目にしたのは、2005年の春、パリ・バスチーユのギャラリーpatrickseguin(パトリック・スガン)が、東京・青山の10 corso como COMME des GARCON (ディエチ・コルソコモ・コムデギャルソン)ショップ内でした。プルーヴェやペリアンらの家具が展示され、多くは売約されていた記憶しています。100万円を超える家具の存在をリアルに感じた瞬間でした。翌年、東京の谷中でのプルーヴェハウスの展示も忘れられません。

日本人がデザインした価値が高いヴィンテージ家具ってあるの?

一番著名なデザイナーは、やはり、倉俣史朗氏の仕事になると考えます。代表的な作品、世界に56脚しか存在しない椅子、ミス・ブランチは現在5,000万円以上の価値があるそうです。

アートとプロダクトの垣根を超えて、どの文脈とも繋がっていない不思議な存在ですが、フィリップスやクリスティーズといった第一級のオークションハウスでも取り上げられ、世界各国の美術館やコレクターが競りあってでも欲しいという作品も少なくありません。

また、昨年2018年に開催されたアメリカ・シカゴにあるオークションハウスwright20での、コムデギャルソンの椅子が、1脚100万円を超えるハンマープライスになったことに驚かされました。今年もその流れは継続している様子です。個人的には、イサム・ノグチ氏の文脈は大切に考えていて、とりわけ外国人のディーラーからの問い合わせが多いのも、クラマタをはじめ、川久保玲氏、初期のIDEEの作品も多いように感じます。

海外のオークションハウスで出品と落札をした経験から感じること

外国のオークションハウスで、デザイナーズの家具が取引されていると知ったときの衝撃は、今でも忘れられません。当時エルモルイス(現フラクタス)の成田さんのブログで知りました。彼はいまでも尊敬しています。
英語を話すことも出来ない身分でしたし、直ぐにはオークションハウスに連絡をすることも出来ずにいましたが、ある時に勢いというより、軽いノリで、当時所有していた作品のリストをオークションハウスに伝え、両者で合意した、ポールケアホルムの椅子を出品しました。その椅子は無事に落札され、円高時分でしたので、利益なんて、すずめの泪でしたが、ひとつの目標が達成できた想いで、とても嬉しかったことを覚えています。

私の感じるオークションハウスは、まずは作品の来歴を求められるのも印象です。
そして、少しでも怪しければ、権威のある方からのジャッジが加わります。
はい、その権威から偽物の判断をされた作品も所有しています。苦笑

インターネットの発達と一緒に、外国から出品をすることも、落札をする敷居も低くなり、例えば、ヨーロッパで珍しい椅子が高額で落札されれば、アメリカでもそのプライスが基準となって更に高騰していくといった時代であると感じています。
これからは、グローバル化が加速し、輸送の敷居も更に簡素化していくと予測しています。
現時点では、e-bayなどの個人間のオークション以上に、手続きが大変だと思います。

初心者ですが、どのようにヴィンテージ家具で資産を形成できますか?

私の大好きなミッドセンチュリーモダンでも、大きく分類すると、アメリカ、フランス、イタリア、デンマーク、フィンランド、そして日本。最近ではブラジルも注目されはじめています。日本国内でもそれぞれの分野に長けている専門家もいますが、実は手さぐりの状態だったりしす。この人は凄い!って感じる人の特徴は、兎に角、資料集めが上手です。作品集はもちろんですが、過去に発行された国内外の雑誌やフリーペーパーを片っ端から集め、情報を整理されています。そして、重要だと考えるキュレーターや工場、ギャラリストは勿論、デザイナー本人に会いに行ったり、オークションハウスを1度や2度と言わずに訪ねています。人間関係が出来てこそ、得られる情報も、融通してくれる作品もありますので、地道な作業を積み重ねられていると感じます。

ヴィンテージ家具で資産形成を推奨していますが、その前に「この椅子きれいだなぁ」「このインテリアの雰囲気好きだなぁ」といった、ご自身の気持ちを大切に文脈を見ていくとより、クリアな世界が見えてくると思います。
好きこそものの上手なれ。で、あとは、前に進んで情報を収集し、作品を探すと良いと思います。インターネットにある情報は全てが真実だとは限りませんから、注意も必要です。

全てがヴィンテージ家具で統一された空間だと、今の時代とマッチしないようにも感じますので、新しいもの、アンティークのもの、そしてヴィンテージのデザイナーズ家具や植物に絵画などを上手くご自身の世界感でコーディネートされるとより豊かなライフスタイルに繋がるものと信じています。

作品を転売したり売却する際に気を付けたいこと

金や株などの証券と違って、モノは即金性に期待ができません。ましてや家具店も減っている中で買い取りを依頼できるところも少ないです。それに、相場を知っていない状態で、売却すると二束三文で買い叩かれてしまいます。

そうならない為にも、所有している家具の価値を日々確かめ、ネットオークションを活用してみたり、近年のGoogle翻訳も素晴らしく向上していますから、外国の方へ販売してみることも増えていくのかもしれません。
何事も自分の頭で考え、行動を積み重ねることで、ヴィンテージの価値をさらに向上させていけると考えています。

日本で30年の期間を経てヴィンテージと呼ばれ、さらに価値を持つ家具について考えてること

日本は高度経済成長をしバブルが弾けてから、ちょうど30年くらいの時間が経過しています。福岡では、世界を代表するインテリアのデパートNICがありました。60年代からイームズをはじめ、北欧の家具を販売している経緯を見聞きするたびに、それらの家具の来歴も気になるところです。
かつて豊かだった日本には、ヴィンテージと呼べるまでの30年の期間を熟成したデザイナーズ家具が数多くあり、個人向けはもちろん、企業や公共施設に販売されたものもあります。

近年ではヴィンテージを取り扱う家具店も減り、当時買われた方、その処分に困っていると聞くことも増えています。
リサイクル店に引き取られるケースもありますが、二束三文でしょう。

昨今のデザインプロダクトの高騰化を聞くと、転売目的でそればかりを集めて愛用する方もいますし、それは次世代に価値を繋ぐ意味でも素晴らしいことと思います。

この記事を読み終えて、ヴィンテージの魅力について、少しでも興味が湧いた!という方は、1つからでも構いませんので、自分の気持ちを大切に家具との出会いを楽しみながら、探してみてはいかがでしょうか?今まで感じることのなかった魅力や景色を感じられることでしょう。

この記事は大切に管理しながら、アップデートしていきますので、ご意見などござましたらお気軽にお便りください。

「価値ある作品が、次の世代の所有者に大切に引き継がれていくことを願っています。」

参考文献
PENオンライン「東京に現れた、ジャン・プルーヴェのすべて。」:
https://www.pen-online.jp/feature/design/prouve2016/2
毎日オークション「スカンジナビアンデザインの魅力」:
https://www.my-auction.co.jp/column/scandinavian/
greeniche「今、北欧インテリアが見直されている理由」:
https://www.greeniche.jp/html/page253.html